通院6ヶ月後の交通事故慰謝料の相場は?いくらもらえるのか

Aさんは、交通事故にあい、骨折してしまったため病院に通わなくてはならなくなりました。怪我は思いの外重く、現時点で6ヶ月(180日)の通院を余儀なくされています。まだ、怪我は完治しておらず、この先も病院に通う必要があると医者に言われてしまいました。

しかし、相手側の保険会社は治療の打切りを迫ってきています。Aさんは完治していないのに治療を打ち切るべきなのか、不安になっています。このような、まだ怪我が完治していない場合にも慰謝料を請求できるのか、もらえるとしたらいくらもらえるのか、誰に請求すべきなのか、Aさんは悩んでいます。

本件のように、保険会社が治療の打切りを求めてきたり、示談交渉がうまくいかない場合が交通事故の案件では頻繁にあります。このような場合には弁護士等に相談するのが一番ですが、敷居が高い、費用がいくらかかるかわからないから相談しにくいと感じる方も多いと思います。そこで、今回は交通事故に関する慰謝料についてわかりやすく説明していきたいと思います。具体的な金額は、表があるのでそちらを参考にするのも良いでしょう。

交通事故にあった場合、慰謝料は請求できるのか

交通事故の被害者は、治療費、交通費以外に慰謝料も請求することが出来ます。それを入通院慰謝料と言います。入通院慰謝料とは入院・通院に伴う精神的苦痛への慰謝料のことをいいます。

入通院慰謝料はいくらもらえるのか

入通院慰謝料の計算の仕方は3つあります。(1)自賠責基準、(2)任意保険基準、(3)弁護士(裁判)基準です。簡単にこの3つの基準を説明します。

自賠責基準(自動車損害賠償責任保険基準)

まず、自賠責保険は車を運転する際に入る強制保険であって、他人を負傷させたことに対する補償を行うものです。この補償の中には慰謝料も含まれています。

自賠責基準では、事故による怪我の場合、基本的には、法律で定められた4200円×入通院日数となります。しかし、自賠責基準では、後遺障害が残らない通常の怪我の場合、慰謝料・治療費両方を合わせた支払限度額が120万円と定められていることに注意が必要です。

後遺障害が残る場合には、後遺障害の等級によって基準が異なり、慰謝料の金額も変わってきます。

請求する相手方は、交通事故の加害者側の保険会社となります。この場合、加害者が任意保険に入っている場合には、任意保険会社に請求します。この方法は、自賠責保険の限度額までを一旦加害者が加入している任意保険の保険会社が立て替えて払う「一括請求」と呼ばれるものです。

任意保険基準

自賠責保険が強制加入であるのと異なり、加害者が任意保険に加入している場合に用いられるのが、任意保険基準です。任意保険基準とは、各任意保険会社が慰謝料などの算定に用いる基準のことをいいます。任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわからないとされています。自賠責基準よりも若干高い程度のものと言われています。

請求する相手方は、交通事故の加害者側の任意保険会社となります。

弁護士(裁判)基準

弁護士基準とは、弁護士が交渉する際に用いる基準のことをいいます。弁護士基準は、過去の裁判例をもとに弁護士会がまとめたものであり、裁判の場でも基準とされるため、裁判基準とも呼ばれています。弁護士(裁判)基準は、3つの基準の中で最も高額な慰謝料が請求できる基準です。弁護士に依頼して交渉した場合、保険会社も任意保険基準ではなく弁護士(裁判)基準をベースとした慰謝料の支払いに応じることが多いのが現状となっています。

請求する相手方は、交通事故の加害者側の任意保険会社となります。

新しい基準(ADR基準)

交通事故の示談交渉における紛争が勃発した場合に、裁判までしたくない方向けに設けられた制度があります。交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センター、そんぽADR、保険オンブズマンなどの裁判外紛争機関(ADR)における示談の斡旋です。

ADRを利用した場合の損害賠償金額の水準は、任意保険基準と弁護士(裁判)基準の間とされていますが、必ずしも決定に強制力があるわけではいのと、合意内容もケースバイケースとなっているため、現時点ではあまり参考にはならないかと思われます。これからの運用に期待ですね。

後遺症が残った場合、慰謝料は請求できるか(例:むち打ち症)

交通事故に遭った際、よく起こる怪我のひとつが「むち打ち」です。むち打ちは車の追突事故や衝突事故などの衝撃によって、首に負担がかかりダメージを受ける損傷のことです。正式名称は「頚椎捻挫・頚椎挫傷・外傷性頚部症候群」などと呼ばれています。

ひと口にむち打ちといっても、衝撃の度合いや肉体の頑丈さによってダメージの大きさは人それぞれ違ってきます。むち打ちは、心理的な原因で痛みが続き、通院が長引くケースも多いそうです。つまり、精神的な苦痛も人によって異なるということです。

むち打ちは、後遺症が残るケースも多いです。怪我をして一定期間治療しても治らないことを「後遺症」といいます。ただ、交通事故では保険会社が慰謝料を支払うので、どんな「後遺症」でも慰謝料が支払われるわけではありません。単なる「後遺症」ではダメで、「後遺障害」と認めてもらわないと慰謝料が支払われないことになります。

後遺症が残った場合は、後遺障害の等級の認定申請をして、後遺障害慰謝料請求をするべきでしょう。後遺障害慰謝料とは、後遺症を抱えて生きていくことに対する精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことです。後遺障害慰謝料の額については、自賠責基準の時にも触れましたが、認定された後遺障害等級に応じて慰謝料の基準が設けられ、金額が決まります。

そこで、後遺障害等級認定の申請をしっかり行うということがかなり重要になってくるのです。後遺障害等級認定の申請の方法は2通りの方法があります。事前認定と被害者請求です。このうち、加害者の保険会社に手続を頼むのが事前認定、被害者自らが手続をするのが被害者請求です。被害者請求では、大量の書類を自ら用意しなければならず、後遺症が残っている状態で行うのは困難かもしれません。そのため、後遺障害等級認定の申請の被害者請求をする場合には弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

今回、交通事故の慰謝料に関して、主に3つの基準があることを説明しました。最低限の補償となるのが自賠責基準であることは理解されたと思います。

本件のAさんのケースのように、保険会社から治療の打切りを迫られも、安易に承諾せず、治るまで治療を続けるか、もしくは後遺障害を認定してもらい後遺障害慰謝料を請求することができることがわかりましたね。そして、後遺障害が残ってしまったり、長期の通院になるようなときはなるべく多くの慰謝料が欲しいのが実情です。しかし、加害者側の任意保険会社が被害者側の気持ちに寄り添ってくれるとは限りません。過失相殺等も問題となってくる慰謝料の交渉においては、保険会社の言うことを鵜呑みにはせず、弁護士(裁判)基準を調べることが重要です。しかしながら、弁護士(裁判)基準はたびたび改訂されています。

適正な慰謝料を請求したい、弁護士(裁判)基準の慰謝料請求をしようとするならば、弁護士に相談する必要があるといえるでしょう。